なぜ教育型サロンの経営は苦しくなるのか?~それでも私たちは人を育てる~
【第4章】
▶序章 第0話~第3話こちら
▶第1章 第1話~第5話こちら
▶第2章 第1話~第5話こちら
▶第3章 第1話~第5話こちら
第1話 前の店長が辞めたから店長
前章では、教育型サロンを成立させるには、人が育つ仕組みを経営として設計する必要があるとお伝えしました。
では、その仕組みを現場で動かすのは誰でしょうか。
多くのサロンでは、その中心を店長が担います。
ところが、その店長はどのように選ばれているでしょう。
「前の店長が辞めたから」
「一番社歴が長いから」
「売上が一番高いから」
そんな理由で、ある日突然店長になった人も少なくありません。
もちろん、長く働いていることや、お客様から支持されていることは大切な実績です。
しかし、それだけで店長として必要な力まで身についているとは限りません。
スタイリストの仕事は、自分の技術や接客によってお客様に価値を届けることです。
一方、店長になると、自分だけではなく、スタッフが成果を出せる状態をつくることが求められます。
売上が伸び悩むスタッフがいる。
後輩育成がうまくいかない。
チームの連携が悪い。
目標に届かない。
こうした問題に対して、自分が代わりに売上をつくるだけでは解決になりません。
ところが会社からは、
「店長なんだから店舗を見て」
「スタッフを育てて」
「数字も管理して」
と求められる。
本人からすれば、プレイヤーとして評価されてきたのに、役職が変わった途端、これまでとは違う仕事を説明もなく任されたようなものです。
その結果、自分が成功してきた方法を部下にも求めやすくなります。
「もっと練習した方がいい」
「もっとお客様に入った方がいい」
「自分から動こう」
決して間違った助言ではありません。
ただ、相手がなぜできていないのかを見ずに、自分の成功体験だけを渡しても、人が育つとは限りません。
ここで問われるべきなのは、店長本人の資質だけではないと思います。
会社は、店長になる人に「店長とは何をする仕事なのか」を教えてきたでしょうか。
役職を与える前に、その役割に必要な力を育ててきたでしょうか。
店長は、肩書きを与えれば店長になるわけではありません。
プレイヤーとは違う能力を身につける必要があります。
私は、人を育てる店長に必要な力は、大きく三つあると考えています。
一つ目は、どこでつまずいているのかを見抜く「目利き力」。
二つ目は、その人に合った打ち手を考える「引き出しの多さ」。
三つ目は、本人が前へ進めるよう支える「伴走力」です。
次回から、この三つの力を一つずつ考えていきます。