なぜ教育型サロンの経営は苦しくなるのか?~それでも私たちは人を育てる~
【第2章】
▶序章 第0話~第3話こちら
▶第1章 第1話~第5話こちら
第1話 なぜ利益が残らないのか?
第2話 美容室は“人”で利益構造が変わる
第3話 「忙しいのに苦しい」サロンの共通点
第4話 生産性とは「効率」ではなく「価値」
第5話 「少ない人数で高い価値」を生む組織へ
「予約はいっぱい。スタッフも一日中動き回っている。それなのに、なぜか利益が残らない」
そんなサロンがあります。
一見すると、忙しいことは良いことのように思えます。
お客様が来てくださり、スタッフが働き、売上も上がっている。
しかし、「忙しい」と「価値を生み出している」は、必ずしも同じではありません。
「忙しい」という字は、「心を亡くす」と書きます。
次のお客様が待っている。
時間に遅れられない。
目の前の施術を早く終わらせなければならない。
そんな状態が続くと、本来は「このお客様にどう喜んでいただこう」と考えていた仕事が、「どうすれば時間内に終わらせられるか」という作業に変わっていきます。
美容の仕事は、本来、人と向き合う仕事です。
表情を見る。
会話から気持ちをくみ取る。
少しの変化に気づく。
そして、お客様から「ありがとう」と言っていただく。
そこに美容師としての価値や働きがいがあります。
ところが、忙しさに追われて心の余白を失うと、お客様が「喜んでいただく相手」ではなく、「時間内に終わらせる対象」になりかねません。
売上は上がっていても、お客様への価値も、スタッフが感じる仕事の意味も薄れてしまいます。
ただし、だからといって「もっと人を増やして余裕をつくればいい」という話でもありません。
前回お伝えしたように、人が多すぎれば一人ひとりの仕事量が減り、本来必要な生産性から離れてしまいます。
反対に、人が少なすぎれば心を亡くすほどの忙しさになり、仕事が作業になってしまう。
必要なのは、暇な状態でも、限界まで働く状態でもありません。
適度な負荷があるからこそ工夫が生まれ、技術も連携も磨かれます。
大切なのは、その負荷がお客様への価値とスタッフの成長につながっていることです。
お客様にきちんと向き合える余白を持ちながら、一人ひとりが適正な仕事量を担い、成長できる状態です。
だから経営者が見るべきなのは、「忙しそうにしているか」ではありません。
その時間が、お客様への価値につながっているか。
そして、その価値を無理なく継続して生み出せているかです。
では、その状態を測るための「生産性」とは何なのでしょうか。
次回は、生産性を単なる効率ではなく、「生み出した価値」という視点から考えていきます。