なぜ教育型サロンの経営は苦しくなるのか?~それでも私たちは人を育てる~
【第2章】
▶序章 第0話~第3話こちら
▶第1章 第1話~第5話こちら
第1話 なぜ利益が残らないのか?
第2話 美容室は“人”で利益構造が変わる
第3話 「忙しいのに苦しい」サロンの共通点
第4話 生産性とは「効率」ではなく「価値」
第5話 「少ない人数で高い価値」を生む組織へ
ここまで、生産性とは「少ない人数でたくさん働くこと」ではなく、
一人ひとりが生み出せる価値を高めることだとお伝えしてきました。
では、何人で働くのが正しいのでしょうか。
答えは、「少ないほど良い」ではありません。
店舗という一つの箱には、売上規模や席数、営業時間などに応じた適正人数があります。
例えば、月商400万円を5人でつくることが適正な店舗なら、一人あたりの売上高生産性は80万円です。
ただし、半年後に新しい店舗を出すVisionがあり、そのために2人を先行採用して育てているなら、今は7人で400万円、約57万円でも意味があります。
それは過剰人員ではなく、未来への先行投資だからです。
問題は、「なぜ今7人なのか」が共有されないまま、その状態が続くことです。
7人で400万円をつくることが日常になれば、それがスタッフにとっての「当たり前」になります。
そして新店への異動や退職によって2人が抜けたとき、本来の適正人数である5人に戻っただけでも、「急に忙しくなった」「人が足りない」と感じてしまう。
経営側にとっての適正と、スタッフにとっての当たり前がずれてしまうのです。
だからこそ大切なのがVisionです。
会社が売上や利益を増やしたいから、「もっと生産性を上げよう」と言うだけでは、
スタッフにとっては会社の欲望を実現するための手段に感じられてしまいます。
「私たちはどこへ向かっているのか」
「その未来のために、なぜ今この人数なのか」
「その中で、自分はどんな成長をするのか」
そこまでつながって初めて、今求められる生産性にも意味が生まれます。
草木も、根元だけに水を与え続けるより、少し離れた場所に水を与えることで、そこへ向かって根を伸ばしていきます。
組織も同じではないでしょうか。
楽にするために人を増やすのではなく、少し先にあるVisionへ向かって、
個人と組織がともに成長していく。そのために必要な適正人数と適正な負荷を考える。
教育型サロンに必要なのは、人を減らす経営でも、人を余らせる経営でもありません。
Visionに向かって人が育ち、その成長によって一人ひとりが生み出す価値が高まる経営です。
人を育てることと、利益を残すことは対立しない。
その二つをつなぐ仕組みをつくることが、教育型サロンの経営なのだと思います。
次章では、その「人を育てること」を、コストではなく投資としてどう捉えるのかを考えていきます。