序章 ~「働く意味」を育てなければいけない時代~
「何のために働くのですか?」
そう聞かれた時、多くの人は「お金のため」と答えるかもしれません。
もちろん、それは間違いではありません。
生活をするため。
家族を守るため。
好きなことをするため。
生きていくうえで、お金は必要です。
だから「稼ぐ」ことは、とても大切なことです。
そもそも“稼ぐ”という言葉は、「稲を家に持ち帰る」という意味から来ているとも言われています。
つまり、生活を支えること。
大切な人を守ること。
そのために必要な行為なのです。
だから、「お金のために働く」こと自体は、決して悪いことではありません。
しかし一方で、“働く”という言葉には別の意味があります。
“はた”を“らく”にする。
つまり、人が人のために動くこと。
誰かの困りごとを解決したり、役に立ったりすること。
それが「働く」ということです。
だから本来、働くという行為には、
「誰かの役に立てた」
という感覚が含まれていました。
そして人は、その感覚によって満たされます。
「ありがとう」
「助かった」
「またお願いしたい」
そんな言葉をもらえた時、お金とは違う嬉しさを感じることがあります。
つまり人は、
“誰かの役に立つことで、自分の存在価値を感じる”
生き物なのだと思います。
実際、本当に“儲かっている人”というのは、多くの人から支持されている人です。
“儲”という字は、「信者」とも書きます。
もちろん宗教的な意味ではありません。
それだけ、
「この人にお願いしたい」
「この人を応援したい」
と思ってくれる人がいるということです。
つまり、信頼され、人の役に立った結果として、お金が集まっているのです。
だから大切なのは、
「いくら稼ぐか」
だけではありません。
どのように人の役に立ったのか。
その対価を何に使うのか。
そこまで含めて、“働く”なのではないでしょうか。
美容業界は、本来それを感じやすい仕事です。
お客様の表情が変わる。
自信を取り戻す。
人生の節目に関わる。
「ありがとう」を直接もらえる。
だからこそ、多くの人が美容業界に憧れたのだと思います。
しかし今、その“働く意味”を感じにくい時代になっています。
【次回】
‣第1話 「お客様って新キャラですか?」