最近管理職の方から耳にする相談が『なぜできないのか分からない』というものです。
具体的には『目の前にゴミが落ちていても素通りする』とか『困っている後輩を助けない先輩が多い』といった事例です。
こうした行動に対して、どうしても個人の性格や責任に問題を押し付けがちです。
しかし、それ以上に見逃してはいけないのが、その組織に根付いている文化です。
『じゃあ、その文化を創っているのは上長なんだから、結局悪いのは組織のトップってこと?』
という声が出てくるのも無理はありません。
確かに、組織のトップの影響が大きいのは否定できませんが、文化はそんな単純なものではありません。
たとえ30年続いている会社であっても、その歴史はまだまだ浅いものです。
長い歴史を持つ文化というのは、より複雑な要素が絡み合い、形作られていくものです。
私が文化の話をする時によく例に挙げるのが富士登山です。
登ったことがある人なら分かるかもしれませんが、5合目には土産物屋が並び、賑わっています。
しかし、そこですれ違う人と挨拶を交わすことはほとんどありません。
これは街中で誰かとすれ違っても挨拶しないのと同じですね。
ところが、いざ登山が始まると、挨拶を交わす人が増えていきます。
同じ場所にいるのに、登る段階が変わるだけで、そこには新しい文化が生まれるのです。
文化とは、状況や環境によって自然に変わるもの。
だからこそ、企業文化も小さな行動や気づきの積み重ねで変わる余地があるのです。
ちなみに、聖徳太子が最初に富士山に登ったと言われていますが、下山の際にすれ違った人には挨拶できなかったようです。
なぜなら、彼は空飛ぶ馬で登ったと言われているので。
≪今日の心がけ≫
小さな行動が文化を作る一歩。まずは挨拶から始めましょう。