前回、人材育成が困難になった理由として「ハングリーさがなくなったこと」をお話ししましたが、
もう一つの要因として「親世代への依存が可能になったこと」が考えられます。
今、30代前後の方々が活躍することが期待されていますが、その親世代は多くが60代前後で、
バブル経済を経験している世代です。
経済的な差はあるものの、多くの親世代が子どもを支えるだけの経済的ゆとりを持っていることが多いようです。
これに対して、その親世代の更に親の世代は戦争や貧困を経験しており、蓄えや資産を持たないことが普通でした。
彼らは、何もないところから努力して積み上げてきた世代です。
一方、今の若者は、親世代の支援があることで「いざとなれば親に頼ることができる」という感覚を持つ人が少なくありません。
これは安心感につながる反面、「自立しなければ」という強い意識や、追い込まれた時の踏ん張りを弱めている可能性があります。
昔のように、経済的に厳しい環境の中で自力で道を切り開く必要性が少なくなったことで、成長の動機づけが減少しているのです。
こうした背景も、今の人材育成の難しさに影響を与えているのではないかと感じます。
現代の若者にとって「自分で何とかしなければならない」という意識をどのように醸成していくかが、
今後の育成における大きな課題となるでしょう。
≪今日の心がけ≫
自分なりの自立を考え、自らの道を切り開きましょう。