2024年7月12日

566話 節税保険のご提案

私は元々会計事務所に勤務し、その後に保険代理店で起業しました。

そのため、最新情報とは言えないまでも、基本的な考え方は知っている方だと思います。

その立場から言わせていただくと、いまだに税理士の方がクライアントに

「節税だからこの保険に入れば良い」と提案しているのを見ると悲しい気持ちになります。

断言しますが、保険で節税は不可能です。

一般的に税理士の方や保険会社が言う“節税”は、あくまで“納税の先送り”であって、“税金が消えてなくなる”ことはありません。

今年経費で落とした保険料は、それが返ってきたときにはそのまま収入として課税対象になります。

そういった理屈をすっ飛ばして、目先だけの提案をするから経営者は、さも『税金が消えてなくなる』という錯覚を起こすのです。

もちろん税理士の方や保険会社の方にも言い分はあろうかと思います。

『私はちゃんと説明したが、相手が分かってくれていない。』

『退職金として受け取れば相殺されて結果としてトータルでの納税額は減る。』

その言い分も分からなくはないですが、当のご本人が理解できていない提案が、本当に顧客の為になっているのでしょうか?

節税と税の繰延のちがいが分かってもらえない経営者に、退職金を使った節税プランって有効なんでしょうか?

確かに唯一考えられるのは退職金の税制を活かしたプランですが、これも経営判断であり、節税できるから退職をするわけではありません。

 

では、なぜ税理士が生保や共済を勧めてくるのでしょうか?

大半が代理店手数料をもらえるからです。

また、その手数料を受け取った方が保険が満期になるまで担当している可能性が極めて低いからです。

試しに節税保険を勧めてくる税理士さんに

「とても良い節税策だと分かりました。それでは知り合いの保険屋さんにそのまま依頼しますね」と言ってみてください。

中には「他の保険代理店で加入するなら、節税にはなりませんよ」という税理士がいるかもしれませんね。

 

企業にとって、本当に大切なのは、健全な経営を続けることです。

節税ばかりを追い求めるのではなく、収益を上げ、適切に納税することで、企業の信頼を築くことが重要です。

納税は社会への一環でもあり、長期的に見て企業の成長につながります。

私たちが目指すべきは、真に持続可能な経営です。

短期的な節税策に惑わされず、しっかりとした経営戦略を持ち、社員が安心して働ける環境を整えることが求められます。

そうすることで、社員一人ひとりが働きがいを感じ、企業全体が成長していくことができます。

 

≪今日の心がけ≫

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