2023年10月21日

420話 伝わらないから伝えない

先日お取引先のある若手社員の方と食事をご一緒しました。

コミュニケーションでお悩みのようで、具体的には自分で思っていることをそのまま言ってしまう癖がある、と。

自分の正義をそのまま口に出しては周りに波紋を呼んでいるのだとか。

気になったのは「だから発言を控える」という結論に行きつきそうになっていたことです。

 

私自身も「分かってもらえないならもう接点を持たない」という状態に陥った経験がありますから、その気持ちも分かります。

しかし、そこで忘れてならないのは「人は一人では生きられない」という事実。

 

あなたは「私さえ我慢していれば文句ないでしょ?」と思っている人と建設的な時間を過ごせますか?

チームとは互いを認め合ってこそ成り立つもの。

確かに支え合うという考え方も大切かもしれませんが、どちらかがどちらかに寄りかかる状態は望ましくないですから、あくまで自立が前提です。

お互いに認め合うためにも、互いを分かり合えなければならないわけですね。

ぶつかり合うのが悪いのではなく、それを分かり合えないことが課題なのだと思います。

 

私は若い頃から「分かり合えない苦悩」を感じていました。

想いはあるのですがそれが先行しすぎて、また感情的になりすぎて、稚拙な表現で思わず口走ってしまい取り返しがつかないことになった、ということは数えきれないほど。

今でもその癖が抜けきらないこともありますが、徐々に改善していきたいなと思い、心掛けていることがあります。

それは、その背景に思いを馳せることです。

【なぜその人はこの質問をしたのか?その目的は何なのか?】

これを伝えると間違った解釈をしてしまう人がいます。

「この人はきっと答えがあるに違いないのに、なぜこんな質問をするのか?自分を試そうとしているのか?」と。

これは、想いを馳せているのではなく、自分目線の“裏読み”でしかありません。

そうではありません。

もっとシンプルに「なぜこの質問をしているのか?」と、向き合わないと建設的な会話はできないですね。

“裏読み”ではなくて“深読み”を、ぜひしてみてください。