2022年6月10日

347話 就社と就職

僕たちが社会に出た頃は、まだまだ終身雇用の考え方が一般的でした。

『骨をうずめる』という表現にあるように、僕自身も銀行員として社会人生活を終えるものと思っていた、というより何の選択肢も頭にはありませんでした。

しかしその頃から徐々に転職というものが一般化され、『職業選択の自由~♪』なんてコマーシャルが印象的でした。

時代も変わり、大半の新卒社員が『骨をうずめる』なんて思ってもいないというデータを耳目にします。

僕自身は会社を経営させてもらっていますが、そこはあくまで一つの箱というか、『柵』くらいに思っています。

 

 

柵の中にいるかどうかは、いわゆるMVVが近いかどうかで判断すれば良いと思っていて、その柵の中で自分の個性をどのように生かすのか?を考える事が大切。

Mission;何を使命として、何を存在意義として集まっているのか?

Vision;どのような社会を創りたいのか?どんな未来が望ましいのか?

Value;何を大切にしたいのか?どんな価値観を持ったチームなのか?

 

僕自身も一人のプレイヤーとして自由にしたいし、このMVVが合わないチームには所属したくない。

方や経営者としての僕はより多くの方のお悩み解決に貢献しようと思えば、多くの仲間が必要。

でも窮屈な柵ならばそこにいる意味を感じてもらえない。

プレイヤーとしての自分自身が魅力を感じる事ができない箱なら、自分もそこから飛び出したくなると思っています。

 

だから就活をしている学生さんや転職で悩んでいる方にお伝えしたい。

『就社になってはいけないよ。』と。

就社とは最初から『私はその柵の中にいるのが安心なのです。』と宣言しているようなもの。

もちろんそのほうが落ち着くという方もおられると思います。

しかし、その中でいる仲間が何を志し、どこを目指しているのかすら分からない組織に、いつまで身を置く事ができるでしょうか?

 

まずは自分自身の『職業観』を言語化する事が大切です。

なぜこの仕事をしたいと思っているのか?

当然若い内はそんなことは分からないし、社会に出る前に分かったらその方が気持ち悪い。

もしかしたら40~50歳になっても見つからない方もいるかもしれない。

それだともう手遅れかもしれません。

 

その時に考えてもらいたいのは

➀自分自身、どんな瞬間が一番“快”を得る事ができるのか?

この“快”は色々な階層がありますし、何が正解とは思わないです。

ただ、いつまで経っても自分の事しか考えていない“快”にしか興味がないと、いずれ他者から必要とされなくなります。

 

➁その“快”を得るためにどんな能力と努力が必要なのか?

例えば僕は人の笑顔を見るのが“快”だと思っています。

その為の手段としてコンサルタントとして活動しています。

しかし能力が身についていないとお客様の笑顔を見る事ができません。

その為にどんな能力を身に付けるべきなのかは、自身の時間軸と社会的な時間軸に合わせて常に研鑽が必要です。

 

➂それは継続的に対価を得る事ができる貢献になっているのか?

いくら頑張って貢献してもそれが対価性のないものであれば、無償労働で終わってしまいます。

ボランティアというのは貢献の概念であって無償労働とは異なりますので、自身がどの様に対価を得る事ができる能力を身に付けるのかも、とても重要ですね。

 

もちろんこんな理屈っぽい話ですべてが解決するわけではありません。

常に悩みながら自分の職業観を探したいものですね。