2024年12月9日

664話 103万円の壁と人材育成

最近、いわゆる「103万円の壁」が多く取り沙汰されています。

この壁は扶養控除を受けるために年間所得を103万円以下に抑えるという仕組みですが、

それを超えると税負担が増えるため、働く意欲を削ぐ要因になると指摘されています。

一方で、178万円理論という新しい提案も議論されています。

これは扶養控除の基準を引き上げ、178万円まで働いても控除の対象になるようにすることで、

労働意欲を引き出そうという考えです。

 

103万円の壁撤廃論者は「働く意欲が湧く」と主張し、反対派は「徴収される税金が減り、財政が苦しくなる」と懸念を示します。

しかしこの議論を経済全体の視点で捉えた場合、国民の財布、企業の財布、そして国の財布は相互に関連しています。

国民が余裕を持つと消費が増え、企業の利益が向上し、その結果として税収も増えるという好循環が生まれます。

つまり、理論上は壁を引き上げる事で結果として経済は潤うのではないかというのが私の考えです。

(但し、その壁を気にして働いている人の中には労働意欲に繋がらない方がいるのも事実)

 

これは企業経営にも通じます。

働きがい創造コンサルティングの中で、「社員が働きやすくなるとお客様に迷惑がかかるのでは?」と懸念する経営者がいます。

しかし、これは間違いです。

社員が時間と心の余裕を持つと、顧客に対するサービスの質が向上します。

社員が心からの潤いを感じて働ける環境を作ることが、結果的に企業価値を高めるのです。

 

ただしこれも時間や収入の余裕が増えたとしても、それが単にYouTubeやX(旧Twitter)を眺めるだけの空虚な時間になってしまっては意味がありません。

本質的な心の豊かさを得るためには、時間と収入を「自己成長」や「人とのつながり」に投資できる環境を提供することが重要です。

 


≪今日の心がけ≫
時間やお金を成長やつながりに活かしてみましょう。