人間は、同じ事実が目の前で起きていると勘違いしてしまうことがよくあります。
しかし実際には事実そのものは同じでも、それをどう捉えるかは人によって大きく異なります。
言い換えれば、事実は人の数だけ存在しているということです。
例えば、上司からかけられた「頑張れよ」という一言。
文字通りで見れば激励の言葉だと思いますが、様々なシチュエーションによって捉え方は大きく異なります。
会社で考えると、良好な関係が築かれている上司と部下の間では激励として受け取られますが、
関係が良くない場合には嫌味にしか聞こえないかもしれません。
中には自分は頑張っていると思っているのに上司からそのような声を掛けられることによって
気分を害してしまうこともありえますね。
聞いた話ですが、ある社長が女性社員に対して『夜遅くまで頑張っているね。』という声をかけたところ
その社員は泣き出してしまったそうです。
後からその状況をご本人にお伺いすると、『自分は早く帰りたいのに、この組織は遅くまで残って仕事をしていることが
評価されるのかと思うと悲しくなった。』とのことでした。
確かに自分が良いと思っている点を評価されると気分が良いかもしれませんが、そうでなければ
真逆に捉えられかねない一例ですね。
同じように、晴れ渡った秋空を見ても、運動会を楽しみにしている子どもにとっては快晴の嬉しい天気ですが、
それを見学に行く保護者にとっては日焼けの心配で頭がいっぱいになるかもしれません。
このように、人の心というフィルターによって事実は異なります。
そして、その捉え方が異なるまま話を進めると、どんどん認識のズレが広がってしまいます。
だからこそ、まずはお互いがどのように事実を捉えているのか、合意形成をしながら進めていくことが大切です。
≪今日の心がけ≫
事実の捉え方を共有し、お互いの認識のズレを確認しましょう。