先日お世話になっているハッピーチアライフグループさんの入社式にお邪魔しました。
このご時世に20名近くの新卒採用をなさっていて、式典の開催についても危ぶまれる中で、一生に一度の晴れ舞台をご準備なさる姿勢には尊敬の念しかありません。
そんな新人さんたちを見ながら考えます。
入社式に限らず、新しく社会に出る方にお伝えしていることがあります。
それは、『世の中は理不尽である』ということ。
理不尽というのは“自分の中での正解が異なること”と解釈していただければ。
社会に出るまでの道理、つまり正解というのは遡れば親の教育に行きつきます。
多くの親御さんは、まず自分の道理を押し付ける伝えます。
朝目が覚めたらおはようって言ってね。
ご飯は残さず食べてね。
夜遅くまで起きてないで早く寝てね。
保育園や小学校に入ると先生が道理となります。
お友達と仲良くしましょうね。
授業中は前を向いて話を聞きましょうね。
宿題は忘れずにやってきてね。
(今回の本題ではありませんが、近年親御さんの教育者への尊敬の念のなさが、回り回って親への尊敬の念をも落としかねない事に気付くべきかと思います。もちろん教育者側にも大きな問題がありますが。)
ここで学生時代の価値観が形成されます。
一つポイントになるのが、『利害関係』という言葉。
親も先生も利害関係で言うと子供側に寄り添っています。
親は当然のことながら、先生も営利目的ではなく子どもの当事者となってその子の成長を見守ります。
20年かけて子どもたちは『自分の側に立った方』から道理を教えてもらいます。
その道理の根底にあるのは『あなたの為を思って言うけど、努力は大切よ。努力すれば必ず報われるの。』ということ。
ところが、20年経ってその“道理”が崩れます。
まず自分を評価してくれるのが今までの『自分の側に立った方』ではなく、
➀雇用関係にある利害関係者としての勤務先
➁その勤務先と利害関係にある顧客
に代わります。
立場が180度変わるわけですね。
ですから、自分が働く会社を選ぶ際、まずは➀の雇用関係=利害関係者である組織でしかない会社には注意が必要です。
僕の基本姿勢や教育理念は『自立』だと思っています。
もちろん自分の子どもにも自立を促したいですし、共に働く社員の皆さんにも自立を促したい。
“寄り添う”と“もたれ合う”は全く意味が異なりますから、あくまで自分の足で立っている人たちが不足するものを補いつつ寄り添う姿が理想です。
ですから会社は社員の皆さんの自立を促す機関であって、利益を上げる道具にするわけでもなければ、社員の安住の地を約束する場でもないと思っています。
そういう意味で、親御さんが学校へと引き継いだバトンを、僕たち会社がもらうのではなく本人がそのバトンを落とさずに自分の人生を完走できる伴走者であるべきだと思っています。
だからこそ、利害関係というより伴走関係であるべきだと思っています。
しかしお客様となるとかなりハードルは上がりますね。
お客様は“あなたの事”を一番に考えてくれるわけではありません。
お金を払う側の立場として適正な価値を適正な価格で購入したいと思う、正に利害関係者なわけです。
もちろんお客様とも伴走関係が望ましいですが、今度は社員側がお客様の伴走者とならなければなりません。
未来ある若者を受け入れる組織として何を大切にすべきなのか?を今一度問うべきではないでしょうか?
『うちの社員には主体性がない』と嘆く前に、社員の自立を促すという前提が組織の文化として根付いているのか?
ハッピーチアライフさんの入社式の中で永年勤続表彰がなされていました。
身近なところに自立した先輩が存在するというのは、とても大切なことだと感じました。