私が幼少のころ、父はお給料を現金で持ち帰っていました。
幼心に、その日は家族内が盛り上がっていた記憶があります。
そこから徐々に振込という仕組みが世の中に普及。
今や『気がつけばお給料が振り込まれていた』という方も多いかもしれないですね。
私は銀行員としてスタートを切った初日、入社式の頭取(社長)の訓話で『身の丈にあったお金の使い方をしなさい』と言われたことが、30年近く経った今でも忘れられません。
当時、クレジットカードが徐々に普及し始めたものの、まだクレジットカードを持つ審査のハードルが高かったこともあり、その場ではその言葉の意味を正しく理解していなかったのだと思います。
その意味がわかるようになったのは、その後の社会人生活でカードをうまく使いこなせている人と、カードに使われている人が存在することを知ってからです。
物事の原理原則に『痛みと快楽』があると思っています。
得たい快楽があるのならば、まずは痛みを持たなければならない。
例えば、欲しいもの手にするとき、先に商品(快楽)を得られるわけではなく、支払いという痛みを味わうことが先です。
しかし、カード決済はそうではありません。
ひとまずレジで決済するものの、それは決済代行会社であるカード会社からお金が引き落とされるのであって、本人に痛み(通帳引き落とし)が回ってくるのはその1ヶ月後。
つまり、カード決済というのは原理原則である『痛みと快楽』の順番を変えてしまったのです。
そこで何が起きるかというと、時間軸のない人ほど身の丈を上回る快楽を得ようとしてしまう・・というわけですね。
自分の成長速度を上回る“ツケ”を未来の自分に課してしまうのです。
仮にその支払いが未来の自分への投資であれば、未来の自分がそれを払ってくれます。
しかし目先の快楽を得るための浪費を、未来の自分に課していたとしたら・・
当然未来の自分はそれが負担にしかなりません。
お給料が振り込まれる時こそ、『まずは自己投資の金額を決める』ところからスタートしたいですね。